産業遺産  イタリア - クレスピ・ダッダ Crespi d'Adda  

先日BS で 世界遺産の中の産業遺産のことをやっている番組を見ました。

初めてきく名前の村で、村全体が遺産として維持管理されているようです。

8月11日(BSプレミアム)

世界遺産 - クレスピ・ダッダ (1878年)

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現在 居住者400人(約100世帯)

経営者クリストフォロ・クレスピが建造した織物(綿花)工業の村。
“クレスピ村”という意味。
労働者の理想郷として稼動し、栄えるが、ムッソリーニの台頭により50年で潰える。


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労働者の健康を気遣い、4.2mの、当時としては考えられないほど高い天井で、空気の循環を考えている。
間取りはどの家も、リビングルームのある3LDK。

当時、最新の建築工学に基づく。

無料で貸し出された。


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労働者は労働時間8時間で、帰宅すると、各戸に併設された畑で家庭菜園やガーデニングにいそしむ。

畑仕事の士気を鼓舞するためにガーデニング・コンテストも行なわれ、若い入居者には、料理学校も開かれ、健康によい料理をいかに美味しく効率よく料理するかを学んだ。
無駄遣いしないようにレシピ帳を作ることも教えられた。



労働者でオーケストラを結成し、音楽も楽しんだ。400人収容できる劇場もあった。

綿を洗うお湯を利用した湯沸し場と温水プールがあり、湯沸し場では洗濯、子どもたちは温水プールを楽しんだ。


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公・共・私 というものが right size (適正規模)で備わった、まさに理想郷。

息子シルビオ・クレスピは、自ら工場で働き、「労働者の健康と安全」というマニュアルを作り、労働者を保護した。

その後、国の大臣となり、国の政策にも関わり、

「サービス残業の廃止」
「女性の労働時間の短縮」
「少年労働の禁止」


などの法律制定に至った。



ところが、その後ファシズムが台頭し、このクレスピの理念が国に広がることを恐れたムッソリーニは村を全部買い取り、むなしくも村は国のものとなった。

売り渡しのとき、シルビオが唯一出した条件は、「労働者を解雇しないでそのまま働かせてほしい」というものだった。

亡くなる2分前まで「労働者たちは大丈夫か」と聞いていたそうだ。




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さすが、スローライフ、アグリツーリズモの発祥の国、イタリアです。

感動しました。

現在は工場は稼動していないとのことでした(一部ジーンズ工場として稼動との記事も2003年にあり)が、一度村を出た労働者たちの子孫や、遺産として保存に協力したい人たちが村に戻り、100世帯ほどが家を借りて住んでいる。

番組で映像に出てきた、家族の息子(20代)は、

「足りないものはなにもない」
「自慢できる村です」
「こんな村が世界にもっとあればいいのに」

と語っていて印象的でした。


当時は、産業革命が始まって、イギリスでは、羊毛から加工のしやすい綿花に移行し、紡績機械も綿花用に改造されたようです。イタリアでもその機械を導入。

クレスピ親子は、労働者が不足し、劣悪な労働条件で使い捨てのように働かされる労働者を、人道的に見ていられなかったのもあるでしょうし、一方では、そうやって労働者を保護・教育することこそ、産業の維持・発展につながるという先見もあったのだと考えます。



まさに私も目指しているコミュニティのあり方。労働のあり方!

宮沢賢治の羅洲地人協会を思い出します。
『農民芸術概論綱要』を思い出します。






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●下記のサイトから写真はお借りしました

「イタリア建築通信」    26 April 2003    
【労働者のユートピア / クレスピ・ダッダ  Crespi d'Adda】
http://www010.upp.so-net.ne.jp/architurismo/architurismo/citta/crespi.htm



●私は見ていないのですが、日本のアニメ、「ペリーヌ物語」で、
お爺さんがペリーヌとともに理想郷を作ろうとするのはクレスピ・ダッダがモデルではないか?
という記事もどこかで読みました。



●世界遺産検定でも取り上げられていました。
(ラジオ取材っぽい、遺産の内容に見合わないちょっとお品のない雰囲気もありますので悪しからず)
http://www.youtube.com/watch?v=7K0wvNiganU 
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by silverfountain | 2011-08-16 07:19 | 精神・心への栄養
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