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イギリスの友人からのメール通信

*このところ涼しく、秋の気配がしていたのですが、9月になってまたお天気のいい、暖かい日があり、それだけでなんだかうれしくて、にこにこしてしまいます。

この夏は、日本から何人もゲストが来てくれて、南東イングランドを一緒に日帰り旅行して楽しんでいたのですが、皆さん日本食をお土産に持ってきてくださって、「水ようかん」、「わらびもち」などもいただきました。おいしかった!ありがたや。今日は久しぶりに車ふの入ったひじきの煮物にごま塩ふりかけご飯を料理しましたよ。


第九十五話 歴史の旅「ヘイスティングの戦い(1066年)」

むかしばなしの浦島太郎は竜宮城で楽しくのめや歌えやの3年間の日々をすごしていたのですが、あるとき、乙姫に不思議な四方に窓のある部屋へ案内され、ふるさとの四季を見ることに。美しい桜の春。せみの声が聞こえる夏の窓。もみじが赤く染まる秋の窓。太郎は、北風が吹き荒れた雪の海が見える冬の場面で、ふるさとの年老いた両親を思いだし、いてもたってもいられず、地上に戻ることにしたのでした。

 3.11で日本は変わったといわれますが、外国で暮らす日本人は「故郷喪失」のような感じの、悲しさがあるようです。(もちろん毎日を日本で暮らす人たちはもっと大変な思いをしているでしょう。)わたしは勉強で精一杯の十年を過ごしていたので、日本のニュースもウェブも見ることもなかったのが、3.11以来日本のニュースを見るようになりました。思いは日本へ、の日々。そんな時イギリスを訪ねてくれた日本からのゲストからは、ほんとうのところ、日本はどうなっているのかを直に聞くことができました。

 劇団無形舎の早津さん(本町2丁目居酒屋「鳥の歌」店長) に連れられて、寺泊の近くの田んぼに通って素人無農薬栽培を試みていたのは20代のころでしたが、先日その田んぼのグループのHさんが私を訪ねてくれました。現新潟市沼垂にあった日本最古の古代城柵「渟足柵」の研究会で世界の歴史に残る「柵」をまわっているとのこと。

 歴史に興味があるならばと、私が住むタンブリッジウェルスから汽車で20分の、その名も「Battle」という、海の向こうからフランス軍が攻めてきて、イギリスを征服した1066年の「ヘイスティングの戦い」の歴史の町に一緒に行ってきました。

 戦いの場となったフィールドがそのまま残されていて、ぐるりと歩きながらそこここにあるパネルで戦いの様子を想像力で再現。矢が当たって倒されたイギリス王の首があったところを祭壇にして、そこに大きな修道院を建てたという、なんとも生々しい宗教なわけです。

 世界史、日本史を語りながら、Hさんは、田んぼのグループのみなさんのその後20年の個人史も話してくれました。Hさんは今もジャズのベース奏者で、信濃川の土手を走っているとのこと。何十年たっても、いろいろなことに興味を持っていて、第二の青春という感じです。話を聞けば、みなさん、人のため、社会のため、なにかできることをしつつ、楽しんでいる。

 歴史を学ぶことで見えてくる長いスパンで見た今回の地震津波、原発事故の意味。


 向かっているのはお金でも地位でも権力でもない、人間の生きる道の上での、自分の役割。

 新潟にいれば早津さんの居酒屋「鳥の歌」の常連客となって毎晩、おいしい魚とおしゃべりを楽しんでいるところなのに、こうしてイギリスの地で暮らしているのも、また、私の役割であるのかもしれないなと思いはじめています。
 いつでも「Cup of Tea」、なんでも「Well Done」の、こののんびりしたイギリスの暮らし方を紹介するのも日本社会への貢献になるかもしれません。

 そんなことを考えながら、Hさんがヘイスティングの漁師さんの魚直売所で買ってわたしにプレゼントしてくれた白身魚を、パクチョイと生唐辛子野菜炒めソースでタイ風にしていただきました。おいしかった!ごちそうさまでした。





(M.A. 2011年 9月1日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef
by silverfountain | 2011-09-06 07:32 | 精神・心への栄養
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